日本学術振興会 R051メタロミクス委員会
R051 Committee on Metallomics, Japanese Society for the Promotion of Science

委員会概要Overview

委員会の概要

生体に存在する金属は、そもそも微量であるため、生命金属研究の進展は、その測定技術の進展に大きく依存している。特に、複雑なマトリクスで構成される生体試料の中に存在する金属を、圧倒的な高感度で検出できるようになれば、医療や創薬分野におけるさらなる応用が期待できる。機器の高感度化によってなし得る新たな分析法としてはa) 一細胞レベルでの多元素同時分析や同位体解析、b) インセルスペシエーション、c) シングルセル元素イメージングなどが挙げられる。これらの技術は、細胞内の金属を単に総量として計測するに留まらず、1) 生体必須金属元素間や、医薬品候補金属含有化合物と必須金属元素間の相互作用の解明、2) 金属と生体分子との相互作用の解明、3) 細胞内金属元素の空間的及び経時的変化の把握、といった情報を得ることに繋がる。これらの情報を取得することにより、具体的な応用例として、リキッドバイオプシーによる診断や栄養状態の把握による未病や予防、老化に対するレジリエンスの向上などに展開することが期待できる。現有技術ではなし得ない分析法の開発するためには、何を解決しなければならないのかについて、産学が連携して議論を深めることにより、新たな機器開発や分析法構築の実現を加速することを本委員会では目指している。